ヒュゥゥゥゥゥーーーー


「……待っていたぞ、のび太」

「…………ジャイアン!!



カミナリさん家に隣接する空き地で、二体の超雄がその存在のみで砂塵を荒ばせた。



「うぬの功夫で思い上がるとは、天にピリカでも見たかッ!!

「否、されど強敵(とも)との誓いゆえに……!!」


言葉は少なく構えを取る。
引き絞られた弓の如き空気は舞い踊る砂が落ちるのより迅く砕け散った。




天に滅せいっ 
のび太ぁぁァァァァッ!!!


吼えるなぞ生温い。
練られた気が腹より繰り出された呼気と混じり、横隔膜の震動を以って究極の一と化す。
喉より這い出た波動は、その眼前の大地を一瞬にして沸騰させた。
不可視にして不可避、音の剛槍はのび太を刹那も遅い程の速さで呑むと、無情なる顎で等しく噛み砕く。
大気そのものに打ち据えられたのび太の体は不可思議な軌道を描いて跳ね飛ばされた。
再び地に激突するまでには脳髄諸共、その眼鏡すらもカチ上げられた。



「ぐぬっ……、な…なんて、ヴォイスだ……」

「のび太ッ、うぬの力はそんなものかッ!!」


目から眼鏡が外れたのび太の体は一喝で幾つもの筋が断裂し、視界は脳が頭蓋と連続衝突を起こしてドロドロであった。
崩れ落ちる。
いつものように体は主の支えを失い、何度も繰り返されたように敗北にまみれる。
それはもはや数える意味さえ失った確定事項。
だが、今度だけは声が聞こえた。







「お兄ィヂャーン」





鬱血だらけで走馬灯すら流し始めたのび太自身の体の中から、遥かな時の果てへと帰った強敵(とも)との記憶から、溢れ出た想いが彼を支えた。
負けられぬ。
この一戦だけは負けられぬ。


うぉぉぉぉぉぉォォッ!!!


咆哮と共に、血が滾る。
強敵(とも)と重ねた戦いの記憶、その一つに導かれるように左の手刀は前方へ、右の拳は転纏勁を蓄えるように後方へと向かう。


「そ、その構えは……ドラミっ!?」

天へ帰る時が来たのだジャイアンッ!!



踏み込みと共に地が爆ぜる。
足の親指、足首、膝、股関節、腰、肩、肘、手首―――八の動作を融合させて七へ。
七の動作を統合して六へ。その果てに一の動作に至った此れこそが、誓いし強敵(とも)と歩んできた道に在った一つ、忘れられぬ彼の妹君の御技―――青狸神拳が分派、黄猫琉拳。



アタァーーーッ゛!!!



加速の果てに行き着いた拳はジャイアンの腕の間を貫き、その身へと突き刺さる。
閃光の如き一撃で、百キロを超える巨体が後方へと弾け跳んだ。
されど巌同然の巨躯は、そのまま両の足で自らを再び大地の上へと君臨させる。
今だ白煙を上げる打撃痕を叩きながら、揺るがぬジャイアンは傲然と嗤らった。




パァン!


「わはははは、油断したわ! のび太。だが、そんな貧弱な拳ではこの体に傷一つ付けることはできぬわ!!






【続いてたまるか!!】

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